PYC日本円×ブロックチェーンの融合.

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ステーブルコインJPYC、どのチェーンで発行すればいい?

2025年10月27日、ステーブルコイン「JPYC」が正式に発行されました。

日本初の日本円建ステーブルコインということで、国内でも話題になっています。開始以来の発行枚数は増加しており、 1週間で1億枚(1億円)を突破しています。

一般の人でも申しめば、少額から入手可能なJPYC。しかし、「どのチェーンで発行すればいいのか」と悩む人もいるのではないでしょうか。

そこで、本記事では以下のことについて解説します。

  • ステーブルコインとは?
  • JPYCについて
  • ブロックチェーンの種類について
  • JPYCはどのチェーンで発行すべきか

これからJPYCを発行しようと考えている人は参考にしてください。

JPYCとは

JPYC(ジェイピーワイシー)は、日本円と価値が連動するように設計された「日本円のステーブルコイン」です。

発行元はJPYC株式会社。2025年10月27日に正式に改正資金決済法に基づいたライセンスを得て発行が始まりました。

JPYCは資金決済法上の「電子決済手段」として扱われ、現在では「唯一の円建てステーブルコイン」です。

ステーブルコインとは?

ステーブルコインとは、法定通貨の価格に連動するように設計された暗号資産(仮想通貨)の1種です。

ドルやユーロや円などの法定通貨と価格がペッグ(固定)されており、従来の暗号資産に比べて価格の変動が少ない(大きく上がったり下がったりしない)のが特徴です。そのため、決済手段や送金手段として利用が拡大されることが期待されています。

現在は米ドルの価格にペッグ(固定)されたドル型ステーブルコインが主流ですが、ドル以外の法定通貨のコインも発行されています。そのような中での今回の「JPYC正式発行」は注目のイベントです。

JPYCは3つの「チェーン」で発行されている

JPYCは「Ethereum」「Polygon」「Avalanche」の3つのチェーンで発行されていますが、どのような意味があるのでしょうか。

「チェーン」とは

チェーンとは、暗号資産の基盤となる技術である「ブロックチェーン」のことです。ブロックチェーンは取引データの塊(ブロック)を鎖(チェーン)のようにつなぎ、みんなで共有・検証しながら管理するデータを保管する、分散型の台帳システムです。

ブロックチェーンの種類には「パブリックチェーン」「プライベートチェーン」「コンソーシアムチェーン」の3種類がありますが、ビットコインやイーサリアム、ステーブルコインなどは「パブリックチェーン」に該当します。

さらに、パブリックチェーンの中に「ビットコイン・チェーン」や「イーサリアム・チェーン」、「ポリゴン・チェーン」や「バイナンス・スマート・チェーン(BSC)」などがあります。

なぜ複数のチェーンで発行する必要があるのか

複数の異なるチェーン(ネットワーク)が相互に連携し、互換性を持てるようにすることを「マルチチェーン」といいます。マルチチェーンで発行する理由は「利便性」が高いからです。

各チェーンが持つ特性(手数料や処理速度)への対応するために、多くの仮想通貨やトークンがマルチチェーンで発行されています。ちなみに、JPYCは現在3つのネットワークを採用しています。

ひとつのチェーンではダメな理由

チェーンごとに「生態系(エコシステム)」が異なるからです。これはお金で例えるとわかりやすいでしょう。

現在は世界で最も流通しているのは米ドルですが、だからといって世界中の人がドルを使って生活しているわけではありません。地域によってはユーロもあれば円もあり、それぞれの人々が異なる通貨を必要としています。ステーブルコインや他のトークンも同じです。

最も規模が大きいのはEthereum(イーサリアム)チェーンですが、みんながイーサリアムチェーンを使えばOK、ということにはなりません。

チェーンによる違い・特徴

チェーンによって何が違うのでしょうか。

ここでは、JPYCが採用している「3つのチェーン(ネットワーク)」を比較してみましょう。ざっくり説明すると、以下のようになります。

  • Ethereum:信頼性と実績はダントツ、だが手数料が高い
  • Polygon:日常利用に適した低コスト環境
  • Avalanche:スピードとDeFi拡張性に優れる

重要なのは、手数料(ガス代)と処理速度、そしてネットワーク規模です。

また、ブロックチェーンのおけるセキュリティの安全性(信頼性)は、ネットワークの規模によるところが大きいです。つまり規模が大きくなるほど分散性が増し安定します。つまり「規模が大きいネットワークの方が(基本的に)安全」ということになります。

JPYC発行は「ポリゴンチェーン」が多い理由は?

JPYCの発行量がポリゴン(Polygon)が最も多くなっています。

参照:https://jpystable-stats.com/analytics

ポリゴンチェーンでの発行が多い理由は、主に手数料(ガズ代)の低さと処理速度の速さにあります。

それによって現在展開されている、幅広いエコシステムが利用できます。

主要ブロックチェーンの特徴一覧

参考までに、主要なブロックチェーンの手数料や速度などの特徴は以下の通り。

チェーン名手数料(ガス代)速度 (取引確定までの時間)ネットワーク規模 / エコシステムの役割
イーサリアム (Ethereum)高い (混雑時高額)遅い (数分~数十分)最大規模。DeFi、NFTの基盤。高額・高信頼性な取引向き。
ポリゴン (Polygon)非常に安い (数円以下)速い (数秒~数分)大規模。Ethereum互換で安価・高速。幅広いDApps、少額決済に最適。
アバランチ (Avalanche)安い (数円~数十円)非常に速い (数秒)大規模。特に高速なファイナリティと独自のサブネット機能に強み。
ソラナ (Solana)極めて安い (1円未満)超高速 (1秒未満)成長中。処理能力が非常に高い。NFT、DeFi、Web3ゲームで人気。
アービトラム (Arbitrum)安い (Ethereumより大幅に安い)速い (数秒)大規模なL2。Ethereumのセキュリティを継承しつつ、手数料と速度を改善。DeFiでの利用が多い。

チェーンごとの向いている取引の種類

3つのチェーン(Ethereum、Polygon、Avalanche)それぞれの「向いている取引」は以下の通りです。

Ethereumは「高額取引」

  • 向いている取引
    • 大口取引・機関投資家向け取引
    • DeFiプロトコル利用(例:Uniswap、Aave)
    • NFT取引
    • 高信頼性を求める資産管理やセキュアな取引

Ethereumは、セキュリティと信頼性が最も高いため、大口の取引や金融機関向けの取引に適しています。

また、最も広く使われているため、DeFiやNFT市場での取引にも非常に強い基盤があります。

Polygonは「少額取引」

  • 向いている取引
    • 個人間送金や小口決済
    • 低コストなデジタル決済
    • 日常的な取引やゲーム内通貨

Polygonは、手数料が低く高速で、個人間の小口取引や、店舗決済などの日常的な利用に非常に向いています。

また、EthereumのL2(レイヤー2)としてスケーラビリティも高いため、取引量が増えてもパフォーマンスが安定します。

Avalancheは「高速取引」

  • 向いている取引
    • 高速取引・短期間での決済
    • DeFiやマイクロトランザクション
    • ゲームやNFT市場

Avalancheは、トランザクション速度が非常に速いため、タイムセンシティブな取引(例:リアルタイム決済)や、大量の取引を迅速に処理する場面で強みを発揮します。特にDeFiやゲーム関連での利用に適しています。

それぞれのチェーンは特性が異なるため、取引の規模や種類に応じて最適なチェーンを選ぶことが重要です。

まとめ

JPYCが3つの(ブロック)チェーンで発行されている理由や、チェーンごとの特徴について見てきました。

ご自分で申し込んでJPYCを発行するときは、メインで使っているチェーンを選ぶといいでしょう。また、今後使いたい機能やチェーンの特徴に合わせて選ぶのも一つの方法です。

また、選ぶチェーンを一つだけに絞る必要もなく、各チェーンでそれぞれ発行してみる、というのもいいかもしれません。

いずれにしても、JPYCはこれから発展していくステーブルコインです。現在のところは使い道がまだ少ないですが、今後の発展に期待しましょう。

主要DeFiで取り扱われるようになったときに、JPYCの流れはさらに大きく変わるはずです。

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