資産運用

株価暴落に備える!インバースETF(ベア型)をポートフォリオに入れるべき理由

株価が大暴落していますが、こんな時こそ自身の投資戦略を見直す機会です。

株式市場は常に上昇するとは限りません。

突然の暴落に備える方法はある?

相場が下がると利益が出る「インバース(ベア)」型ETFという手段があります。

この記事ではその仕組みから活用法、注意点まで初心者にもわかりやすく解説していきます。

こんな人におすすめ

  • 暴落局面でも冷静でいる方法を知りたい
  • パニック売り(狼狽売り)を防ぎたい
  • 下落相場でも資産を守る選択肢を持っておきたい

最近の相場では、米国や日本市場で不安定な値動きが続いており、リスクヘッジの重要性が高まっています

今こそ「守りの投資」について考えるタイミングです。

「インバース」とは

インバースとは「逆の」「反対の」という意味です。
金融商品の世界では、株価指数の値動きと反対方向に連動する商品のことを指します。

つまり、市場が下がると価格が上がるという仕組みになっています。

「ブル」と「ベア」について

  • ブル(Bull)=上昇相場を想定する強気の投資家
  • ベア(Bear)=下落相場を見込む弱気の投資家

「ブル」は上がると利益が出る、いわば通常の株式や投信の動き。
一方で「ベア」は下落を利益に変える逆張り的な戦略であり、インバース型ETFはこの「ベア」戦略にあたります。

インバースの仕組み

インバースETFは、指数の値動きにマイナスの倍率で連動します。

例えば以下のようにです。

  • 日経平均が1%下がる → インバース(-1倍)は約1%上昇
  • ダブルインバース(-2倍)なら約2%上昇

ただし、これは日次で連動する仕組みになっており、長期的には複利の影響で実際の値動きとズレる場合があります。

また、信託報酬などのコストも日々発生するため、基本的には短期トレードやリスクヘッジ向けの商品です。

インバース(ベア)をポートフォリオに入れるメリット

インバースETFは、うまく使えば相場下落時の守備力を高めてくれるツールです。

ここでは主なメリットを3つに絞ってご紹介します。

暴落時のリスクヘッジ

インバースETFは、他の資産が下がるときに上昇するため、ポートフォリオ全体の損失を相殺する効果があります。

「投資の保険」として一部を持っておくことで、急落時のダメージをやわらげることができます。

精神的な防波堤の役割

暴落時にすべての銘柄が下がっていると、人は冷静さを失いやすいもの。
ですが、インバースETFが上昇していると、それが精神的な支えになります。

「全部が下がってるわけじゃない」「まだ戦える」と思えることで、冷静な判断ができるようになります。
また、ブルとベアを併せ持つことで、感情に左右されにくい視点も持てるようになります。

運用戦略の幅が広がる

インバースETFを組み込むことで、「下がる相場でも利益を狙える」という戦略が取れます。
市場環境や相場観に応じて、ブル・ベアの比率を調整することで、守りと攻めのバランスを柔軟に変えられるのが強みです。

インデックス・ベア銘柄のデメリットと注意点

インバース型ETFは便利なツールですが、誤った使い方をすると逆効果になります。以下のポイントには十分注意しましょう。

相場が上昇した場合は損失が出る

インバースは「下がると儲かる」商品です。
そのため、相場が上昇トレンドにあるときは、持っているだけで損失が出ます

長期的に株式市場は成長傾向にあるため、基本的にはブル型が優勢。ベア型はあくまで補助的な位置付けと考えましょう。

値動きが激しい

-2倍などのレバレッジ型は、指数の変動に対して2倍以上のスピードで動きます
少しの反発でも大きく値を下げることがあり、慣れない人が触るとリスクが高い商品です。

特に短期の売買で活用することが前提となります。

長期保有は不利=複利効果の逆影響

インバース型ETFは、1日ごとに価格の基準がリセットされる構造のため、長期で持つと指数との連動性が崩れていきます。

例:
乱高下しつつ元の水準に戻っても、インバースETFの価格は下がっている可能性があります。

また、信託報酬などの保有コストもじわじわ効いてくるため、長期保有には向いていません。

主要なインバース(ベア)銘柄

カテゴリ銘柄名コード / ティッカー対象指数・倍率
日本株 / TOPIXTOPIXベア2倍上場投信1356TOPIXダブルインバース指数(-2倍)
日本株 / TOPIXiFreeETF TOPIXダブルインバース指数1368TOPIXダブルインバース指数(-2倍)
日本株 / 日経平均日経平均ベア2倍上場投信1360日経平均インバース指数(-2倍)
日本株 / 日経平均iFreeETF 日経平均インバース・インデックス1456日経平均インバース指数(-1倍)
海外株 / S&P500上場インデックスファンド S&P500先物インバース2240S&P500先物(日次指数 -1倍)
海外株 / S&P500DirexionデイリーS&P500ベア3倍ETFSPXSS&P500指数(-3倍・米国ETF)
海外株 / NASDAQ100iFreeETF NASDAQ100インバース2842NASDAQ100(日次指数 -1倍)
日本株 / REIT東証REIT インバースETF2094東証REITインバース指数(-1倍)

日本株関連インバース型ETF

TOPIX関連

1356: TOPIXベア2倍上場投信(TOPIXダブルインバース指数 -2倍)
1368: iFreeETF TOPIXダブルインバース指数(-2倍)

日経平均関連

1360: 日経平均ベア2倍上場投信(-2倍)
1456: iFreeETF 日経平均インバース・インデックス(-1倍)

海外株式関連インバース型ETF

S&P500関連

2240: 上場インデックスファンド S&P500先物インバース(日次指数 -1倍)
SPXS: DirexionデイリーS&P・500ベア3倍ETF

NASDAQ100関連

2842: iFreeETF NASDAQ100インバース(日次指数 -1倍)

その他の資産クラス

2094: 東証REIT インバースETF(東証REITインバース指数 -1倍)

インバース銘柄の購入方法

実践編!リスクヘッジ重視のポートフォリオ戦略

バランス例
ブル95%、ベア5%・・・通常のリスクヘッジ
ブル90%、ベア10%・・・やや強気なポートフォリオ
ブル80%、ベア20%・・・かなる突っ込んだ(下落を見越した)バランス

基本は「ブル」、ヘッジとして「ベア」も保有(初級〜中級者)

資産形成の中心は、成長を見込むブル型が基本です。
そのうえで、インバース型を5〜20%ほど取り入れることで、急落リスクを軽減することができます。

これにより、「利益は狙いつつも、暴落には備える」バランスの良いポートフォリオになります。

以上のように、自身のスタンスや現状に応じて、バランスを決めましょう。

相場観に応じた比率調整(中~上級者)

市場の状況を見ながら、インバースETFの比率を増減させる方法です。

  • 下落しそう:ベアを増やす
  • 上昇しそう:ベアを減らす or ゼロに

ただし、相場観に頼る投資は予測が外れるリスクも高く、中〜上級者向けです。

相場急変時のリバランス戦略(上級者)

大きな下落リスクが迫っていると感じたら、一時的にダブルインバースなどの高倍率ETFを組み込む戦略もあります。

ただし、値動きが激しく、長期で持つと減価しやすいため、ごく少額で短期間のみ活用するべきです。

まとめ

インバース(ベア)型ETFは、暴落時のリスクヘッジや精神的な安定をもたらす便利なツールです。

ただし、長期保有や相場の予測ミスによる損失リスクもあるため、メインではなく「サブ(保険)」として取り入れることが大切です。

基本はブル型資産での長期投資。その上で、インバースETFを使いこなせるようになれば、どんな相場でも慌てない冷静な投資家に近づけるでしょう。

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