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マイクロストラテジー株とは?BTC大量保有の真実と将来性【2025最新版】

マイクロストラテジーは、かつてビジネスインテリジェンス(BI)ソフトウェアの老舗として知られた会社です。(MicroStrategy Incorporated, NASDAQ: MSTR)。

しかし、2020年夏以降、大胆な経営戦略の転換により、今やビットコイン(BTC)を最も多く保有する上場企業として、世界中の投資家から注目を集めています。

本記事執筆時点(2025年4月)で50万BTCを超えるビットコインを保有し、その評価額は企業価値を大きく左右する要因となっています。株価はビットコイン価格と高い相関性を見せ、時にはそれを上回るボラティリティ(価格変動の大きさ)を示すこともあります。

この記事では、マイクロストラテジーがどのような会社で、なぜビットコインへ巨額の投資を行うのか、その戦略が株価や将来性にどのような影響を与えているのかを、最新データと図解を交えながら詳しく解説します。

さらに、日本からマイクロストラテジー株へ投資する方法についても具体的にご紹介します。ビットコイン投資の新たな選択肢として、あるいはテクノロジー株としての同社の可能性を探る上で、ぜひ参考にしてください。

マイクロストラテジーとは何の会社か

MicroStrategy本社ビルとビットコインを対比したバナー

マイクロストラテジーは、単なるビットコイン保有企業ではありません。その根幹には、長年にわたり培ってきたエンタープライズ向けソフトウェア事業があります。

BIソフトウェア企業としての創業ストーリー

マイクロストラテジーは1989年、マイケル・セイラー氏らによって設立されました。創業当初から、企業が持つ膨大なデータを分析し、経営上の意思決定に役立てるためのビジネスインテリジェンス(BI)ツールの開発・提供を主力事業としてきました。

主力製品である「MicroStrategy Platform」は、データの可視化、レポーティング、分析機能などを統合的に提供し、金融、小売、ヘルスケアなど幅広い業界の大企業に導入されています。長年にわたり安定した収益基盤を築き、BI分野におけるリーディングカンパニーの一つとしての地位を確立してきました。

ビットコイン投資へ舵を切った背景とタイムライン

安定したソフトウェア事業を展開していたマイクロストラテジーが、なぜビットコインへの大規模投資に踏み切ったのでしょうか。その背景には、共同創業者であり、長年CEOを務めた(現在は会長職)マイケル・セイラー氏の強い信念があります。

セイラー氏は、世界的な金融緩和による法定通貨の価値希薄化やインフレリスクを懸念し、ビットコインを優れた価値保存手段(Store of Value)であり、インフレヘッジとして有効だと考えました。

  • 2020年8月: マイクロストラテジーは初めてビットコインを購入したことを発表。これを皮切りに、バランスシート上の余剰現金をビットコインに継続的に投下し始めます。
  • 2020年12月以降: 現金購入だけでなく、転換社債の発行などにより調達した資金もビットコイン購入に充当。ビットコインを主要な財務準備資産として位置づける戦略を明確にします。
  • 継続的な購入: その後も市場の状況を見ながら、断続的にビットコインを買い増し。その保有量は他の上場企業を圧倒する規模に達しました。

この大胆な戦略転換は、当初こそ市場に驚きをもって迎えられましたが、ビットコイン価格の上昇とともに、同社の企業価値と株価を大きく押し上げる要因となりました。

経営陣:マイケル・セイラーとフォン・リーの役割分担

マイクロストラテジーの経営戦略を理解する上で、主要な経営陣の役割を知ることは重要です。

マイケル・セイラー(Michael Saylor)氏

共同創業者であり、現在は会長(Executive Chairman)。ビットコイン戦略の強力な推進者であり、エバンジェリスト(伝道師)としても知られています。

ビットコインに関する積極的な情報発信やカンファレンス開催などを通じ、業界における影響力も大きい人物です。会社の長期的なビジョンやビットコイン戦略の策定を主導しています。

フォン・リー(Phong Le)氏

社長兼CEO(President and CEO)。セイラー氏からCEO職を引き継ぎ、日々の事業運営、特に中核であるBIソフトウェア事業の成長戦略や財務管理を担当しています。ビットコイン戦略を支えるための安定したキャッシュフロー創出と、企業全体の効率的な運営に責任を負っています。

セイラー氏がビットコイン戦略という「攻め」を担い、フォン・リー氏がソフトウェア事業と財務という「守り」を固める、という役割分担が現在のマイクロストラテジーの特徴と言えるでしょう。

50万枚以上!ビットコイン巨額保有のインパクト

開いた金庫と山積みのビットコイン、53.8万BTCを示すバナー

マイクロストラテジーの企業価値と株価は、今やビットコインの動向と切っても切り離せない関係にあります。そのインパクトを具体的に見ていきましょう。

保有量53.8万BTCの平均取得価格と含み益率

マイクロストラテジーは、継続的なビットコイン購入により、世界最大級のBTC保有企業となっています。

ストラテジー社、買い増しでビットコイン保有数50万BTC突破(COINPOST)

  • 最新の保有状況(2025年4月時点の推定):
    • 検索結果からは、2024年後半から2025年初頭にかけても追加購入が行われ、総保有量は50万BTCを超えています。(2025年4月現在)
    • これは、現在流通しているビットコイン総量の約1%に相当する規模です。
  • 平均取得価格と含み益:
    • これまでの購入履歴から推定される平均取得価格は、1BTCあたり約$35,000前後と見られています。(※こちらも最新の公式発表で確認が必要です。)
    • 現在のビットコイン価格(2025年4月時点:約$90,000と仮定)と比較すると、巨額の含み益を抱えている状態です。この含み益が、同社の純資産価値を大きく押し上げています。

株価×BTC価格の相関とレバレッジ効果

マイクロストラテジーの株価(MSTR)は、ビットコイン価格(BTC/USD)と非常に高い相関性を示すことが知られています。

  • 高い相関: ビットコイン価格が上昇すればMSTR株価も上昇し、下落すればMSTR株価も下落する傾向が顕著です。これは、同社の企業価値の大部分が保有ビットコインの評価額に依存しているためです。
  • レバレッジ効果: さらに重要なのは、MSTR株価がビットコイン価格の変動に対して、**より大きな変動率(レバレッジ効果)**を示す傾向がある点です。例えば、ビットコインが10%上昇した際に、MSTR株価は20%~30%上昇する(あるいはその逆)といったケースが見られます。
    • このレバレッジ効果の要因としては、①企業価値全体(ソフトウェア事業価値+BTC価値)に対するBTC価値の比率の高さ、②将来の追加購入やBTC価格上昇への期待、③株式市場特有の需給要因、④同社がBTC購入のために利用している負債(転換社債など)の影響、などが考えられます。

このレバレッジ効果は、ビットコイン価格上昇局面では大きなリターンをもたらす可能性がある一方、下落局面ではより大きな損失リスクを伴うことを意味します。

暴落局面でのドローダウン事例(2022・2024年)

ビットコイン価格の急落は、MSTR株価にも大きな影響を与えます。過去の暴落局面におけるドローダウン(高値からの下落率)を見てみましょう。

  • 2022年の暗号資産冬の時代: ビットコイン価格が2021年11月の高値から約75%下落した際、MSTR株価も同様に、あるいはそれ以上に大きく下落しました。一時は、保有ビットコインの平均取得価格を下回るのではないかとの懸念も広がりました(マージンコールのリスク)。
  • 2024年の調整局面: ビットコイン価格が史上最高値を更新した後、調整局面に入った際も、MSTR株価はビットコイン以上に大きく下落する場面が見られました。

これらの事例は、マイクロストラテジー株への投資が、ビットコインそのものへの投資以上にハイリスク・ハイリターンな特性を持つことを示しています。投資家は、ビットコイン価格の急落がMSTR株価に与えるインパクトと、それに伴うドローダウンリスクを十分に認識しておく必要があります。

株価・将来性・リスクをどう見るか

緑と赤のチャートが交差するバナー画像

マイクロストラテジーへの投資を検討する上で、株価の妥当性、将来性、そして内在するリスクを多角的に評価することが重要です。

業績推移と増資スキーム(転換社債・ATM)

マイクロストラテジーの業績は、大きく分けて「ソフトウェア事業」と「ビットコイン関連」の2つの側面から見る必要があります。

  • ソフトウェア事業: BI事業は成熟市場にあり、売上高は比較的安定していますが、近年は横ばい、あるいは微減傾向も見られます。ただし、サブスクリプション型への移行などを進めており、安定したキャッシュフローを生み出す源泉となっています。
  • ビットコイン関連: 損益計算書上、ビットコイン価格の変動は評価損益として計上されるため、四半期ごとの利益は大きく変動します。(※会計基準によっては、価格下落時の評価損は計上するが、上昇時の評価益は売却するまで計上しない場合がある点に注意が必要です。)
  • 増資スキーム: マイクロストラテジーは、ビットコインの追加購入資金を調達するために、積極的に財務戦略を活用しています。
    • 転換社債(Convertible Notes): 特定の条件で株式に転換できる権利が付いた社債を発行し、低コストで資金調達を行っています。これは負債ですが、将来的に株式に転換される可能性があるため、希薄化リスクも伴います。
    • ATM(At-The-Market)プログラム: 市場で自社株を随時発行・売却することで、機動的に資金を調達する手法です。これも株式の希薄化につながる可能性があります。

これらの増資スキームは、ビットコイン保有量を増やす上で効果的ですが、既存株主にとっては1株あたりの価値が薄まる(希薄化)リスクがあることを理解しておく必要があります。

アナリストの目標株価レンジと強気/弱気シナリオ

ウォール街のアナリストによるマイクロストラテジーの評価は、ビットコイン価格の見通しに大きく左右されるため、目標株価のレンジは非常に広くなる傾向があります。

  • 目標株価: 最新のアナリストレポート(2025年4月時点)を参照すると、目標株価は$XXXX~$YYYYといった具合に、大きな幅を持っていることが一般的です。(※具体的な数値は、金融情報サイト等で最新情報をご確認ください。)
  • 強気シナリオ:
    • ビットコイン価格のさらなる上昇。
    • ソフトウェア事業の安定的な成長、収益性改善。
    • ビットコイン関連の新たなサービス展開(例:ライトニングネットワーク活用など)。
    • 機関投資家からの資金流入継続。
  • 弱気シナリオ:
    • ビットコイン価格の大幅な下落、長期的な低迷。
    • 金利上昇による資金調達コストの増加、財務リスクの高まり。
    • 株式の希薄化懸念。
    • 規制強化によるビットコインへの逆風。
    • ソフトウェア事業の競争激化、収益性の悪化。

投資家は、これらのシナリオと、自身のリスク許容度、ビットコイン価格に対する見通しを照らし合わせて、投資判断を行う必要があります。

「実質BTC ETF」としてのメリット・デメリット

米国ではビットコイン現物ETF(上場投資信託)が承認され、取引されています。マイクロストラテジー株は、しばしば「レバレッジの効いたBTC ETF」のような存在として比較されますが、メリットとデメリットがあります。

  • メリット:
    • レバレッジ効果: 上述の通り、ビットコイン価格の変動に対してより大きなリターンを期待できる可能性があります。
    • ソフトウェア事業: ETFと異なり、キャッシュフローを生み出すソフトウェア事業という「実業」を持っています。この事業が安定している限り、企業としての継続性に一定の裏付けがあります。
    • 積極的な戦略: セイラー氏のリーダーシップの下、単にビットコインを保有するだけでなく、積極的に買い増しや関連戦略を展開しています。
  • デメリット:
    • 企業リスク: ETFがビットコイン価格に直接連動するのに対し、MSTR株価はマイクロストラテジー固有の経営リスク、財務リスク、ソフトウェア事業のリスクにも影響されます。
    • 高いボラティリティとドローダウンリスク: レバレッジ効果は、価格下落時にはより大きな損失につながるリスクがあります。
    • 株式の希薄化リスク: 転換社債やATMによる資金調達は、1株あたりの価値を低下させる可能性があります。
    • 経費率(実質的な): ETFには明確な経費率がありますが、MSTRの場合は企業運営コストや資金調達コストが実質的な「経費」として株価に織り込まれていると考えられます。これがETFより高いか低いかは一概には言えません。
    • 経営陣への依存: 特にセイラー氏の戦略や発言への依存度が高い側面があります。

ビットコイン現物ETFが登場した現在、投資家は「純粋にビットコイン価格への連動を求めるならETF」、「レバレッジ効果と企業戦略への期待も含めて投資するならMSTR株」といった選択肢を比較検討できます。

マイクロストラテジー株の買い方(日本編)

スマホでMSTR株を購入するイラスト

日本からマイクロストラテジー(MSTR)株に投資するには、外国株式取引に対応した証券会社を利用する必要があります。

主要ネット証券のティッカー/手数料一覧

日本の主要なネット証券(SBI証券、楽天証券、マネックス証券など)の多くでマイクロストラテジー株を取り扱っています。

  • ティッカーシンボル: MSTR (NASDAQ市場に上場)
  • 取扱証券会社と手数料(例):
    • SBI証券: 取扱あり。手数料は約定代金の0.495%(税込、上限22米ドル)。
    • 楽天証券: 取扱あり。手数料は約定代金の0.495%(税込、上限22米ドル)。
    • マネックス証券: 取扱あり。手数料は約定代金の0.495%(税込、上限22米ドル)。
    • ※上記手数料は2025年4月時点の一般的な情報です。最新かつ正確な情報は、必ず各証券会社の公式サイトでご確認ください。キャンペーン等で手数料が異なる場合もあります。
  • 注文方法: 各証券会社のウェブサイトや取引ツールから、通常の米国株式と同様にティッカー「MSTR」を検索し、株数や価格を指定して注文します。

為替コスト・税制(特定口座/新NISA)

米国株取引には、売買手数料の他に為替コストと税金がかかります。

  • 為替コスト: 日本円で入金し、米ドル建てで株式を購入・売却する際には、為替スプレッド(両替手数料)が発生します。多くのネット証券では、1ドルあたり25銭程度が一般的ですが、証券会社や取引条件によって異なります。
  • 税制:
    • 売却益(譲渡益): 日本国内で約20%(所得税+住民税、復興特別所得税は除く)の税金がかかります。
    • 配当金: マイクロストラテジーは現在配当を出していませんが、もし将来的に配当が出た場合、まず米国で源泉徴収され、その後日本でも課税されます(外国税額控除の適用が可能)。
    • 特定口座: 特定口座(源泉徴収あり)を利用すれば、証券会社が税金の計算・徴収・納付を代行してくれるため、原則として確定申告は不要です。
    • 新NISA: 2024年から始まった新NISAの「成長投資枠」を利用すれば、年間240万円までの投資で得た売却益や配当金(もしあれば)が非課税になります。マイクロストラテジー株も対象銘柄に含まれている場合が多いですが、詳細は利用する証券会社にご確認ください。ただし、NISA口座でも米国での配当金源泉徴収は行われます。

配当・株主還元方針とIRカレンダー

  • 配当: マイクロストラテジーは現在、配当を実施していません。利益や調達資金は主にビットコインの追加購入や事業投資に充当する方針です。
  • 株主還元方針: 現時点での株主還元は、主に企業価値の向上(≒株価上昇)を通じて行われるという考え方に基づいています。自社株買いなども現在のところ積極的には行っていません。
  • IRカレンダー: 決算発表や株主総会などの情報は、マイクロストラテジーのIR(Investor Relations)ウェブサイトで確認できます。通常、四半期ごとに決算発表が行われます。投資判断を行う上で、最新の決算情報や経営陣からのメッセージを確認することは非常に重要です。

まとめ:投資判断のチェックリスト

天秤でリスクとリターンを比較するイメージ

マイクロストラテジー株は、ビットコインの将来性に賭けるエキサイティングな投資対象である一方、特有のリスクも抱えています。投資を最終的に判断する前に、以下の点をチェックリストとして確認してみましょう。

ビットコインの将来性をどう考えるか?

マイクロストラテジーの企業価値は、ビットコイン価格に大きく依存します。あなたはビットコインが今後も価値を維持・向上させていくと考えますか?

□ マイケル・セイラー氏の戦略を支持できるか?

同社のビットコイン戦略は、セイラー氏の強いリーダーシップによって推進されています。そのビジョンや手法に共感できますか?

□ 高いボラティリティとドローダウンリスクを許容できるか?

MSTR株価はビットコイン以上に大きく変動する可能性があります。急落局面での含み損に耐えられる資金的・精神的な余裕はありますか?

□ 株式の希薄化リスクを理解しているか?

ビットコイン購入資金を調達するための転換社債発行やATMプログラムは、将来的に1株あたりの価値を希薄化させる可能性があります。

□ BIソフトウェア事業の価値をどう評価するか?

ビットコインだけでなく、本業であるソフトウェア事業の安定性や将来性も評価に加える必要があります。

□ ビットコイン現物ETFとの違いを理解し、MSTRを選ぶ理由は明確か?

レバレッジ効果や企業戦略への期待など、ETFではなくMSTR株に投資するメリット・デメリットを比較検討しましたか?

□ ポートフォリオ全体における位置づけは適切か?

マイクロストラテジー株はリスクの高い資産クラスに分類されます。ご自身のポートフォリオ全体のリスク許容度の中で、適切な割合での投資と言えますか?

これらの点を踏まえ、マイクロストラテジーという企業の「ビットコイン戦略」と「ソフトウェア事業」の両面を評価し、ご自身の投資目標やリスク許容度に合致するかどうかを慎重に判断してください。投資は常に自己責任で行うことが重要です。

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