仮想通貨の世界で「億り人」という言葉が聞かれます。これは、仮想通貨投資によって1億円以上の資産を築いた人々を指す俗語です。
特に、インターネット上のジョークやトレンドから生まれた「ミームコイン」の中には、驚異的な価格上昇を見せ、初期の投資家を億り人へと押し上げた事例も存在します。
しかし、ミームコインの世界は、大きなリターンへの期待と同時に、非常に高いリスクも伴います。
この記事では、2025年現在の視点から、ミームコインとは何か、どのようなコインが億り人を生み出したのか、そしてミームコインで成功を目指すための方法と、絶対に知っておくべき注意点について、徹底的に解説します。
ミームコインとは?

まずは、ミームコインがどのようなものか、基本的な知識を押さえておきましょう。
ミームコインが生まれた経緯
ミームコインは、その名の通り、インターネット上の「ミーム(meme)」、つまり面白い画像、動画、ジョークなどを元ネタとして作られた仮想通貨(暗号資産)です。
多くの場合、特定の技術的な革新や実用的な目的を持つというよりは、コミュニティのノリや話題性、エンターテイメント性を重視して発行されます。
最初の有名なミームコインとされるDogecoin(ドージコイン)は、2013年にビットコインなどの仮想通貨ブームをパロディ化する目的で、柴犬のミーム「Doge」をモチーフに作られました。
当初はジョークとして受け止められていましたが、強力なオンラインコミュニティと有名人の支持などによって、予想外の人気と価値を持つようになりました。
ミームコイン人気の理由
ミームコインが多くの人々を惹きつける理由はいくつかあります。
コミュニティの熱狂: 特定のミームやキャラクターを愛する人々が集まり、強い連帯感を持つコミュニティが形成されることがあります。このコミュニティの熱気が、コインの普及や価格上昇を後押しします。
有名人の影響: 特定のミームコインについて、影響力のある起業家や著名人がSNSなどで言及すると、それがきっかけで価格が急騰することがあります(いわゆる「セレブ上げ」)。
一攫千金の夢: 過去にミームコインで億り人が誕生した事例があることから、「次の爆上げコインはどれか」と一攫千金を狙う投機的な資金が集まりやすい傾向があります。
低価格と参加しやすさ: 多くのミームコインは、発行当初は非常に低い価格で取引されるため、少額からでも大量のコインを購入でき、気軽に投資を始めやすいという側面もあります。
話題性とエンタメ性: 流行のミームや時事ネタを反映したコインが次々と登場するため、エンターテイメント性が高く、SNSなどで話題になりやすいです。
億り人を生み出した代表的なミームコイン

実際に、驚異的な価格上昇によって多くの億り人を生み出したとされる代表的なミームコインをいくつかご紹介します。
(注意: 以下の数値は過去のデータや執筆時点の参考情報であり、常に変動します。投資判断の際は最新の情報をご確認ください。)
銘柄名 | 最高騰落率 (目安) | 現在の時価総額 (目安) | 主要取引所 (例) |
---|---|---|---|
Dogecoin (DOGE) | 数万倍以上 | 3.2兆円 | Binance, Coinbase, Kraken, Bybit, OKX など |
Shiba Inu (SHIB) | 数百万倍以上 | 1兆円 | Binance, Coinbase, Kraken, Bybit, OKX など |
PEPE (PEPE) | 数万倍以上 | 4,500億円 | Binance, Bybit, OKX, KuCoin, Gate.io など |
Dogecoin(ドージコイン)
概要: 2013年に誕生した、ミームコインの元祖ともいえる存在。日本の柴犬ミーム「Doge」がモチーフ。
特徴: 当初はジョークコインでしたが、イーロン・マスク氏などの著名人の発言で度々注目を集め、価格が大きく変動しました。決済手段としての導入事例も少数ながら存在します。
騰落率: 初期に投資していた場合、数万倍以上のリターンを得た可能性がありました。
時価総額: ミームコインの中では常に上位を維持しています。
主要取引所: 多くの主要な海外取引所で扱われています。
Shiba Inu(柴犬コイン)
- 概要: 2020年に「ドージコインキラー」として登場。同じく柴犬をモチーフにしています。
- 特徴: 独自の分散型取引所(DEX)「ShibaSwap」や、メタバースプロジェクトなどを展開し、エコシステムの拡大を目指しています。イーサリアムブロックチェーン上で発行されています。
- 騰落率: 2021年に驚異的な価格上昇を見せ、数百万倍とも言われるリターンをもたらし、多くの億り人を生み出しました。
- 時価総額: ドージコインと並び、ミームコインの代表格として高い時価総額を誇ります。
- 主要取引所: 多くの主要な海外取引所で扱われています。
PEPE(ペペ)
- 概要: 2023年に登場し、急速に人気を集めたミームコイン。インターネットミームのカエル「Pepe the Frog」がモチーフ。
- 特徴: 特定のロードマップやユーティリティを持たないことを公言し、「純粋なミームコイン」であることを強調しています。コミュニティ主導の盛り上がりが特徴です。
- 騰落率: 登場後すぐに価格が急騰し、初期投資家は短期間で莫大な利益を得ました。
- 時価総額: 登場から短期間で時価総額ランキング上位に入りました。
- 主要取引所: Binanceなどの主要取引所に比較的早く上場しました。
ミームコインで億り人になった主なパターン

過去にミームコインで大きな資産を築いた人々は、主にどのようなパターンで成功したのでしょうか。
エアドロップ組:有望なコインに目をつけ初期から参入
「エアドロップ」とは、新しい仮想通貨プロジェクトが認知度向上のために、特定の条件を満たしたユーザーに無料でトークンを配布することです。
将来有望そうなプロジェクトのエアドロップに早期から参加し、無料で手に入れたコインが後に高騰したことで、大きな利益を得たケースがあります。
また、エアドロップ以外でも、プロジェクトの立ち上げ直後や、まだ価格が非常に低いプレセールの段階でコインを購入し、その後の価格上昇で資産を増やしたパターンもこれに含まれます。
重要なのは、多くの人が気づく前に、そのコインの将来性(あるいは話題性)に気づき、リスクを取って早期に参入したことです。
ガチホ組 草コイン時代から持ち続けて億り人
「ガチホ」とは「ガチでホールドする」の略で、購入した仮想通貨を価格の変動に一喜一憂せず、長期間保有し続ける投資スタイルを指します。
DogecoinやShiba Inuのように、当初は価値がほとんどない「草コイン(=価値の低い無名コイン)」と見られていたミームコインを、ジョークや興味本位で少額購入し、そのまま忘れずに(あるいは信念を持って)持ち続けた結果、数年後に価格が爆発的に上昇し、億り人になったというパターンです。これは運の要素も大きいですが、長期的な視点と忍耐力が実を結んだ例と言えます。
自分でコイン発行(超例外的)
これは極めて稀で、一般的な投資家が目指せるパターンではありませんが、理論上は考えられます。
自分でミームコインを発行し、それがコミュニティやSNSで大きな話題となり、多くの人に購入されて価格が高騰すれば、発行者自身が莫大な利益を得る可能性があります。
しかし、これにはプログラミングの知識、マーケティング能力、コミュニティ形成能力、そして法規制への対応など、多くの専門的なスキルと労力、そして運が必要です。安易に模倣できるものではなく、成功例はごく一部であり、倫理的な問題や詐欺とみなされるリスクも伴います。
億り人になれる?これから伸びるミームコインを見つけるには

過去の成功例を見ると、「自分も次の爆上げミームコインを見つけたい」と思うかもしれません。しかし、それは非常に困難であり、高いリスクを伴うことを理解しておく必要があります。ここでは、情報収集の方法と、コインを見極める上での一般的なチェックポイントを解説します。
ミームコインを探すための情報源
新しいミームコインや話題のコインを見つけるためには、以下のような情報源を活用することが一般的です。
仮想通貨データサイト: CoinMarketCap, CoinGecko など。新規上場コインや価格変動ランキングを確認できます。
分散型取引所(DEX)向けツール: DEXTools, Dex Screener など。中央集権型取引所に上場する前の新しいトークンを見つけることができます。
SNS: X (旧Twitter) は仮想通貨の情報収集に不可欠です。特定のプロジェクトやインフルエンサーをフォローし、最新情報を追います。
コミュニティプラットフォーム: Discord, Telegram など。各ミームコインプロジェクトは、独自のコミュニティチャンネルを持っていることが多いです。ここでの議論の熱量や内容が参考になります。
期待値の高いコインの見極め方
数多く存在するミームコインの中から、比較的「期待値が高いかもしれない」コインを見極める(あくまで可能性を探る)ための一般的なチェックポイントです。ただし、これらを満たしていても成功する保証は全くありません。
ホワイトペーパーの有無と内容: プロジェクトの目的、技術、トークノミクス(トークンの経済設計)、ロードマップなどが記載されているか。内容が具体的で実現可能性があるか。
開発チームの透明性: 開発者の情報が公開されているか。匿名のチームも多いですが、信頼性という点ではマイナス要因になり得ます。開発者の過去の実績や活動状況も確認できると良いでしょう。
コミュニティの活発さ: XやDiscord、Telegramなどで、どれだけ多くの人がプロジェクトについて話し、盛り上がっているか。単なる価格の話だけでなく、プロジェクトの将来性やミームそのものに対する熱意があるか。
トークノミクス: トークンの総供給量、初期配布方法(開発者や特定のウォレットに偏りすぎていないか)、バーン(焼却)の仕組みなどを確認します。供給量が多すぎたり、運営側に有利すぎる設計は価格上昇の妨げになる可能性があります。
SNSでの言及数や熱量: 多くのインフルエンサーやユーザーがポジティブに言及しているか。ただし、過剰な煽りやステルスマーケティングには注意が必要です。
「チェックすべき3指標」
期待値を見極めると同時に、明らかな詐欺コインを避ける視点も重要です。特に以下の点に注意し、プロジェクトの実態を見極めましょう。
詐欺リスクのチェック
ラグプル (Rug Pull): 開発者がプロジェクトへの期待感を煽って資金を集めた後、突然資金を持ち逃げし、プロジェクトを放棄する詐欺。流動性プールのロック状況などを確認するツールもありますが、完全な見極めは困難です。
ハニーポット (Honeypot): コインを購入することはできるが、売却できないようにスマートコントラクトが仕組まれている詐欺。購入前にテストトランザクションを行うなどの対策がありますが、初心者には難しい場合もあります。
不審な点(ウェブサイトが簡素すぎる、開発者の情報が全くない、誇大広告が目立つなど)がないか確認しましょう。
コミュニティの熱量を測る
単にメンバー数が多いだけでなく、実際に活発な議論が行われているか、建設的な意見交換があるかを確認します。運営からの情報発信が一方的でなく、コミュニティの声に耳を傾ける姿勢があるかも重要です。熱狂的なファンがいることはポジティブですが、冷静さを欠いた過剰な期待には注意が必要です。
開発者の活動状況を確認する
開発チームがロードマップに沿って実際に開発を進めているか、定期的に進捗報告を行っているかを確認します。GitHubなどの開発プラットフォームでの活動履歴や、SNSでの発信頻度なども参考になります。活動が停滞しているプロジェクトは、将来性が低い可能性があります。
ミームコインで億り人を目指すときの注意点

ミームコインで億り人になることを夢見るのは自由ですが、その道は極めて険しく、大きなリスクが伴います。投資を検討する前に、以下の注意点を必ず理解しておきましょう。
99.9%は「詐欺コイン」
ミームコインの大半は、短期的な投機や話題性を目的に作られ、長期的な価値を持つことはほとんどありません。技術的な裏付けや実用性が乏しく、コミュニティの熱狂が冷めたり、話題性がなくなったりすると、価格は暴落し、価値がゼロになる可能性が極めて高いです。
さらに悪質なことに、資金を集めることだけを目的とした詐欺的なプロジェクトも後を絶ちません。巧妙な手口で投資家を騙し、資金を持ち逃げするケースが頻発しています。ミームコインの世界は、まさに「魔界」とも呼ばれるほど危険な場所なのです。
TRUMP(トランプコイン)の懸念点
近年話題になった例として、特定の政治家(ドナルド・トランプ氏)に関連するミームコイン(公式発行ではないものも含む)があります。現職(あるいは元)アメリカ大統領に関連する仮想通貨(ミームコイン)が登場したことは非常に話題になり、一部のコインは価格も高騰しました。
しかし、その多くは話題性が先行し、価格が急騰した後に急落する傾向が見られました。
こうしたコインでは、プロジェクトの初期段階や内部情報を知る一部の関係者だけが安値で大量に購入し、価格が高騰したところで売り抜けて利益を得る、ある種のインサイダー(内情を知る人間だけが儲かった)構造が疑われるケースもあります。
話題性だけに飛びつくと、高値掴みをして大きな損失を被るリスクがあります。
無名コインを狙うリスク
「DogecoinやShiba Inuのような爆上げコインを、無名の段階で見つけたい」と考える人もいるでしょう。しかし、その難易度は年々上がっています。
ミームコインの種類が爆発的に増加: 誰でも比較的簡単にトークンを発行できるようになったため、毎日無数のミームコインが生まれています。その数は数万、数十万とも言われ、玉石混交どころか、ほとんどが「石」以下の価値しかありません。
0.1%を当てるのは至難の業: 仮に将来的に価値を持つミームコインが0.1%存在したとしても、その膨大な数の中から一つを当てるのは、宝くじに当たるようなもので、分析や情報収集だけではほぼ不可能に近いと言えます。
どうしてもミームコインで夢を見たいなら
上記のリスクを理解した上で、それでもミームコインに投資してみたい、夢を見たいという場合は、以下の点を徹底してください。
超少額投資に留める: 投資するのは、失っても生活に全く影響が出ない、ゼロになっても構わないと思える金額だけにしてください。ほぼ確実に「ゼロ」になると思っておくくらいの心構えが必要です。
DYOR (Do Your Own Research) の徹底: 人の意見やSNSの情報を鵜呑みにせず、必ず自分自身でプロジェクトについて調べ、リスクを評価してください。
出口戦略を考えておく: もし運良く価格が上昇した場合、どのくらいの利益が出たら売却するのか(利確ライン)、どのくらい価格が下がったら損切りするのかを、投資する前に決めておきましょう。欲をかきすぎると、利益を逃したり、損失を拡大させたりする可能性があります。
超マイナーコインへの投資はギャンブルと認識する: 特に、取引所に上場していないような超マイナーなミームコインへの投資は、投資というよりギャンブルに近い行為であることを認識しましょう。
ミームコイン以外のおすすめ仮想通貨投資術

ミームコインのハイリスク・ハイリターンな性質を考えると、より堅実な方法で資産形成を目指すことも重要です。仮想通貨投資には、ミームコイン以外にも様々な選択肢があります。
<h3>メジャー仮想通貨をガチホ(長期保有)</h3>
ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)、あるいはSolana(SOL)やBNB(バイナンスコイン)といった、時価総額が大きく、技術的な実績や実用性を持つ主要な仮想通貨に投資し、長期的に保有(ガチホ)する戦略です。これらの通貨も価格変動はありますが、ミームコインに比べれば価値の裏付けがあり、長期的な成長が期待できると考えられています。市場全体の成長とともに、資産価値の上昇を目指す比較的堅実な方法です。
DeFiで運用して増やす
DeFi(分散型金融)は、ブロックチェーン技術を活用した金融サービスのエコシステムです。
DeFiプラットフォームを利用して、保有している仮想通貨を貸し出して利息を得たり(レンディング)、流動性を提供して手数料収入を得たり(流動性マイニング、イールドファーミング)、特定の仮想通貨を預けて報酬を得る(ステーキング)などの方法で、資産を増やすことができます。
あまり知られていないサービスの中には、年利換算で非常に高い利回りを提供するものもあります。
もちろん、利回りが高いほどリスク(スマートコントラクトのバグ、ハッキング、運営破綻など)も高まりますが、プロジェクトをしっかり選べば、ミームコインの投機よりは確率の高い資産運用ができる可能性があります。
エアドロップ狙い
ミームコインの項目でも触れましたが、エアドロップは新しいプロジェクト全般で行われる可能性があります。
有望な新規プロジェクト(DeFi、NFT、ブロックチェーン基盤など)の初期ユーザーになったり、特定のタスクをこなしたりすることで、将来価値が上がる可能性のあるトークンを無料で手に入れるチャンスがあります。情
報収集の手間はかかりますが、低リスクでリターンを狙える可能性のある戦略です。
まとめ

ミームコインは、インターネットカルチャーから生まれ、時に驚異的な価格上昇を見せ、一部の投資家を「億り人」へと押し上げました。その背景には、強力なコミュニティ、有名人の影響、そして一攫千金の夢があります。Dogecoin, Shiba Inu, PEPEなどはその代表例です。
しかし、その裏側には極めて高いリスクが存在します。ミームコインの大半は価値がゼロになる可能性が高く、詐欺プロジェクトも横行しています。これから伸びるコインを見つけ出すことは非常に困難であり、「億り人」になるのはごく一部の幸運な例に過ぎません。
もしミームコインへの投資を考えるのであれば、失っても良い少額資金に留め、徹底した自己調査(DYOR)とリスク管理が不可欠です。
より堅実な資産形成を目指すのであれば、メジャーな仮想通貨の長期保有(ガチホ)や、DeFiでの運用、有望なプロジェクトのエアドロップを狙うなど、ミームコイン以外の投資戦略も検討することをおすすめします。
仮想通貨投資は、大きな可能性を秘めている一方で、常にリスクが伴います。情報を鵜呑みにせず、ご自身の判断と責任において、賢明な投資判断を行ってください