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ドルコスト平均法は嘘?デメリットや「失敗するケース」を紹介|自動積立の「ほったらかし投資」は今でも有効なのか

「ドルコスト平均法なら初心者でも安心」「ほったらかしでOK」

そんな言葉を聞いて、つみたてNISAなどで投資を始めた方も多いのではないでしょうか。しかし、一方で「ドルコスト平均法は嘘」「意味がない」といった声や、思うように資産が増えない現実に、不安を感じている人もいるかもしれません。

特に、長期的な下落局面では、本当にドルコスト平均法は効果があるのでしょうか?この記事では、ドルコスト平均法の基本的な仕組みから、メリット、そして見落としがちなデメリットや「失敗するケース」までを詳しく解説します。

自動積立の「ほったらかし投資」が今でも有効なのか、一緒に考えていきましょう。

ドルコスト平均法とは?

ドルコスト平均法という投資手法の名前を聞いたことがある方は多いでしょう。

この名称は、通貨としての「ドル」に限定されるわけではなく、広く「お金」や「コスト」を意味する言葉として使われています。つまり、日本円で投資する場合でも、この考え方は同様に適用されます。

ドルコスト平均法の仕組み

ドルコスト平均法の仕組みは非常にシンプルです。毎月など、決まった時期に、決まった金額で、同じ金融商品を購入し続ける投資法を指します。

例えば、毎月1日に1万円分の投資信託を自動で購入する設定をすれば、それがドルコスト平均法の実践となります。価格が高いときには購入できる口数(量)は少なくなり、逆に価格が安いときには多くの口数を購入できます。

この方法により、価格が高いときには買いすぎず、安いときにはたくさん買うことを自動的に行うため、価格変動リスクを平準化し、長期的な積立投資を通じて平均購入単価を引き下げる効果が期待できます。主に、投資信託や株式、外貨預金など、日々価格が変動する金融商品で用いられる手法です。

よく使われる「りんごの例」

ドルコスト平均法の仕組みを理解するために、よく「りんごの購入」が例として用いられます。

想像してみてください。あなたは毎月5,000円分のりんごを買うことにしました。

  • 1ヶ月目:りんごが1個500円なら、10個買えます。
  • 2ヶ月目:りんごが値上がりして1個625円なら、8個しか買えません。
  • 3ヶ月目:りんごが豊作で値下がりし、1個400円なら、12.5個分買えます。(実際には割り切れませんが、ここでは考え方として)

このように、毎月支払う金額は同じ5,000円でも、りんごの価格によって購入できる個数が変わります。価格が高いときは少なく、安いときには多く購入することになります。

結果として、価格が安い時期に多くのりんごを購入できたため、購入したりんご1個あたりの平均価格(平均購入単価)は、毎回一定量(例えば10個ずつ)買う場合よりも安くなる傾向があります。

(もちろん、実際のりんごは時間が経つと腐ってしまいますが、投資信託などの金融商品はお金そのものなので、この例えにおける「腐る」という要素は考慮しません。)

「つみたてNISA」はドルコスト平均法が基本

「つみたてNISA(積立少額投資非課税制度)」は、少額から長期にわたって資産形成ができる非課税制度です。

少額からの長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度である「つみたてNISA(積立NISA)」は、基本的にこのドルコスト平均法の考え方に基づいて設計されています。

多くの金融機関では、つみたてNISA口座で毎月一定額を自動で積み立てる設定が可能であり、自然とドルコスト平均法を実践できる仕組みになっています。

ドルコスト平均法のメリット

ドルコスト平均法が多くの人に推奨されるのには、いくつかの明確なメリットがあるからです。

タイミングを気にしなくていい

投資で最も難しいことの一つが「いつ買うか(売るか)」というタイミングの判断です。一括投資の場合、「今が一番安い買い時なのか?」「もっと待つべきか?」と悩みがちです。

ドルコスト平均法では、購入タイミングを完全にルール化(毎月〇日など)するため、こうしたタイミングの悩みから解放されます。市場の動向を常にチェックしたり、複雑な分析をしたりする必要がなく、感情に左右されずに淡々と投資を継続できます。

また、一度自動積立の設定をしてしまえば、あとは自動的に購入が進むため、忙しい人でも手間なく続けられる「ほったらかし投資」が可能になります。少額から始められる点も、投資初心者にとってハードルが低い理由の一つです。

高値掴みのリスクを抑えられる

価格が高いときには少なく、安いときには多く購入することで、結果的に平均購入単価を抑える効果が期待できます。一括投資で、たまたま価格が最も高いタイミング(高値掴み)で全額投資してしまうリスクを避けることができます。

特に、価格の変動が大きい(ボラティリティが高い)市場においては、下落局面で多くの口数を仕込めるため、その後の価格回復局面で利益を得やすくなる可能性があります。一括投資よりも、下落リスクに対する耐性が高いと言えるでしょう。

感情的な売買を防げる

投資判断において、感情はしばしばマイナスの影響を与えます。価格が急騰すると「乗り遅れたくない」と焦って高値で買ってしまったり、逆に急落すると「これ以上損したくない」とパニックになって底値で売ってしまったり(狼狽売り)しがちです。

ドルコスト平均法は、あらかじめ決められたルールに従って機械的に購入を進めるため、こうした感情的な判断ミスを防ぐ助けになります。冷静さを保ち、長期的な視点で投資を続ける上で有効な手法です。

ドルコスト平均法のデメリット(リスク)

メリットが多いドルコスト平均法ですが、「万能」ではありません。見落としてはならないデメリットやリスクも存在します。

結果的にマイナスになることもある

ドルコスト平均法はリスクを軽減する手法であり、利益を保証するものではありません。投資である以上、購入した資産の価値が購入時よりも下落し、結果的に元本割れとなる可能性は常に存在します

平均購入単価を下げられても、それ以上に市場価格全体が下落すれば、損失は避けられません。

世界の経済成長が停滞するとき

ドルコスト平均法が長期的に効果を発揮する大きな前提は、投資対象となる市場や資産が、長期的には成長(右肩上がり)する、あるいは少なくとも回復する見込みがあることです。

もし、投資対象としている国や全世界の経済成長が長期にわたって停滞、あるいは縮小するような局面が訪れた場合、いくら時間分散しても、十分なリターンを得ることは難しくなります

途中で積立をやめてしまう

ドルコスト平均法の効果を最大限に引き出すには「継続」が不可欠ですが、様々な理由で途中でやめてしまうと、失敗につながりやすくなります。

  • 価格下落時に恐怖心から売却してしまう(狼狽売り): ドルコスト平均法では、価格が下がった時に多くの口数を購入できることがメリットです。しかし、実際に資産評価額が減っていくのを見ると、不安になって積立をやめたり、損失を確定させて売却してしまったりすることがあります。これは「安く買って高く売る」という投資の基本原則に反する行動であり、典型的な失敗パターンです。
  • 下落局面で積立を停止してしまう: 狼狽売りと同様に、相場の下落に耐えきれず積立を停止してしまうと、平均取得単価を下げる絶好の機会を逃してしまいます。その後の相場回復局面でのリターンも限定的になります。
  • 明確な目標や計画なく、途中で安易にやめてしまう: なんとなく始めて、相場が少し停滞したり、他に資金が必要になったりした時に簡単に解約してしまうと、十分な運用期間を確保できず、複利効果や時間分散効果を活かせません。

ドルコスト平均法が「失敗するケース」

では、具体的にどのような場合にドルコスト平均法が「失敗」しやすいのでしょうか。

「失敗」とは、期待したリターンが得られない、元本割れする、精神的・経済的な理由で継続できなくなる、あるいは結果的に他の投資手法(例:一括投資)の方がはるかに有利だった(大きな機会損失)といった状況を指します。

主な失敗ケースを見ていきましょう。

下がり続けるとき

ドルコスト平均法が機能する大前提として、「投資対象の価格がいずれは値上がりすること(少なくとも購入時よりは高くなること)」が挙げられます

したがって、長期的に価値が下がり続ける資産に投資してしまった場合は、ドルコスト平均法をもってしても損失を回避することは困難です。

一時的な市場の下落ではなく、例えば、構造的に需要が減少していく産業の個別株や、ブームが完全に去ってしまった特定のテーマ型ファンドなどに投資し続けると、平均取得単価を下げても、それ以上に基準価額が下がり続け、損失が拡大する一方になります。

回復が見込めない対象への積立は、典型的な失敗パターンと言えるでしょう。投資対象の選定は極めて重要です。

右肩上がりの相場

これは「失敗」というより「機会損失」のケースですが、投資期間を通じて一貫して価格が上昇し続ける(右肩上がりの)相場においては、ドルコスト平均法は最初に全額を一括投資した場合に比べて、リターンが劣ることになります。

なぜなら、ドルコスト平均法では、価格が上昇するにつれて購入単価も上がっていくため、最初にまとめて購入した方が平均購入単価を低く抑えられるからです。

ただし、相場が常に右肩上がりであり続けるかを事前に正確に予測することは誰にもできません。後から振り返って「あの時一括投資しておけばよかった」と言うことは簡単ですが、将来の市場を予測するのは非常に困難です。

そのため、多くの人にとってタイミングを分散するドルコスト平均法が合理的な選択肢となり得るのです。

積立額が少なすぎる

ドルコスト平均法は少額から始められるのがメリットですが、積立額があまりにも少なすぎる場合、効果を実感しにくい可能性があります。

例えば、毎月数百円程度の積立では、たとえ順調に資産が増えたとしても、その金額は微々たるものかもしれません。

また、投資信託などでは最低購入金額が設定されている場合もあります。さらに、金融機関によっては少額取引でも一定の手数料がかかる場合があり、積立額に対して手数料の割合が高くなりすぎてしまう(手数料負け)リスクも考えられます。

目標とする資産額に対して、積立額と期間が現実的かどうかも考慮する必要があります。

ドルコスト平均法の代わりになる投資法

ドルコスト平均法が自分には合わないと感じたり、他の選択肢も検討したいと考えたりする場合、以下のような投資法も存在します。

一括投資(ルンプサム投資)

手元にまとまった資金(退職金、ボーナスなど)があり、かつ投資経験がある程度ある場合は、一括投資も有効な選択肢です。

理論的には、「投資期間が長いほどリターンが高まる」とされるため、できるだけ早く市場に資金を投じる一括投資の方が、長期的に見てドルコスト平均法よりも高いリターンを期待できる可能性があります(特に右肩上がりの相場では)。

ただし、高値掴みのリスクも伴うため、市場が大きく下落した直後など、タイミングを慎重に見極める必要があります。また、全額を一度に投じることへの精神的な負担も考慮すべきでしょう。

バリュー平均法

バリュー平均法(Value Averaging)は、ドルコスト平均法と少し似ていますが、より積極的にリターンを狙う手法です。毎月一定額を積み立てるのではなく、「毎月〇円ずつ資産評価額が増える」ように積立額を調整します。

目標とする評価額に対して、実際の評価額が下回っていれば多めに買い増しし、逆に上回っていれば買い控えたり、場合によっては一部売却したりします。

ドルコスト平均法よりも価格が安いときに、より積極的に多く買う動きになるため、高いリターンを期待できますが、毎月の積立額が変動するため管理が煩雑になり、相場によっては大きな資金が必要になる場面もあります。手間や調整の難易度はドルコスト平均法より上がります。

自動リバランス付きのロボアドバイザー

「WealthNavi(ウェルスナビ)」や「THEO(テオ)」などに代表されるロボアドバイザーは、リスク許容度などの簡単な質問に答えるだけで、国際分散投資のポートフォリオを自動で構築・運用してくれるサービスです。

積立投資はもちろん、資産配分の調整(リバランス)も自動で行ってくれるため、投資に関する知識があまりなく、自分で判断する時間も取れないという人にとっては便利な選択肢です。

ただし、一般的に投資信託を自分で購入する場合に比べて、手数料(コスト)はやや高めに設定されています。そのコストを払ってでも、合理的な資産配分と運用の手間削減を重視したい人に向いています。

インデックス一括+定期見直し型

これは、最初にS&P500などの主要な株価指数に連動するインデックスファンドなどに、ある程度まとまった資金を一括投資し、その後は半年や1年ごとなど、定期的に相場状況や資産配分を確認し、必要に応じて追加投資やリバランス(資産配分の調整)を行うという、一括投資と積立投資のハイブリッドのような戦略です。

「最初にまとまった額を入れる勇気はあるが、その後の細かい調整や売買タイミングの判断は難しい」と感じる人に向いています。長期的な視点を持ちつつ、年に数回程度の見直しで柔軟に対応できる点が特徴です。

まとめ

ドルコスト平均法は、「時間分散により高値掴みのリスクを抑える」「投資タイミングに悩まなくて済む」「感情的な売買を防ぎやすい」といったメリットがあり、特に投資初心者や長期的な資産形成を目指す人にとって有効な手法の一つです。

しかし、「必ず儲かる魔法」ではなく、「手数料負け」「右肩上がりの相場での機会損失」「長期的な下落相場での損失拡大」「投資対象の選択ミス」といったデメリットや失敗するケースも存在します。「ドルコスト平均法は嘘だ」という意見は、こうしたデメリットや、前提条件(長期的な市場の成長など)が崩れた場合に焦点を当てたものと言えるでしょう。

重要なのは、ドルコスト平均法のメリットとデメリットの両方を理解し、自分の投資目標やリスク許容度、投資対象とする商品、そして市場環境などを考慮した上で、最適な投資戦略を選択することです。ドルコスト平均法を実践する場合でも、長期的な視点を持ち、手数料の低い商品を選び、そして何より「継続」することが成功の鍵となります。

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