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ビットコインETFとは?買い方からおすすめ銘柄まで初心者向け解説

ビットコインETFが近年、投資の世界で大きな注目を集めています。

仮想通貨に興味はあるけれど、直接取引するのは少し不安……

そんな投資家に注目されているのが「ビットコインETF」です。

証券口座から手軽に取引でき、ビットコイン価格と連動する商品として世界的に人気が高まっています。

本記事では、ビットコインETFの基本から投資のメリット・デメリット、買い方や代表的な銘柄まで初心者向けにわかりやすく解説します。

ビットコインETFとは?

ビットコインETFとは?

ビットコインETFとは、その名の通り「ビットコイン」の値動きに連動する「ETF(上場投資信託)」のことです。

投資信託の一種でありながら、株式のように証券取引所に上場しており、取引時間中であればいつでもリアルタイムで売買できます。

仮想通貨を直接保有することなく、間接的にビットコインへ投資できる新しい金融商品として、世界中の投資家から関心を集めています。

ETF(上場投資信託)の基本的な仕組み

そもそもETF(Exchange Traded Fund)とは、「上場投資信託」と呼ばれる金融商品です。

日経平均株価や米国のS&P500といった株価指数、あるいは金や原油などの商品価格といった特定の指標に連動するように設計・運用されています。

証券取引所に上場しているため、株式と同じように、市場が開いている時間ならいつでもリアルタイムの市場価格で売買できるのが大きな特徴です。

多くの銘柄に少しずつ投資する「分散投資」を手軽に行える点も魅力と言えるでしょう。

価格の透明性が高く、信託報酬(運用コスト)も比較的低い傾向にあるため、個人投資家にも人気の高い投資手段となっています。

ビットコインETFが注目されている理由

ビットコインETFがこれほど注目される背景には、従来のビットコイン投資にあったハードルがあります。

仮想通貨取引所での口座開設手続きの煩雑さ、自分で秘密鍵を管理する手間と紛失・盗難リスク、ハッキングへの不安などが、一部の投資家にとっては参入障壁となっていました。

ビットコインETFは、これらの問題を解決する手段として期待されています。証券口座を通じて手軽に売買でき、管理の手間もかかりません。

また、規制された市場で取引されることで透明性や信頼性が高まり、これまで仮想通貨に慎重だった機関投資家の資金流入も期待されています。

特に2024年に米国でビットコイン「現物」ETFが承認されたことは、市場にとって大きな転換点となりました。

ビットコイン現物ETFと先物ETFの違い

ビットコインETFには、大きく分けて「現物ETF」と「先物ETF」の2種類があります。

現物ETFは、運用会社が実際にビットコインを購入・保管し、その保有するビットコインの価値に基づいて価格が変動します。

一方、先物ETFは、ビットコインそのものではなく、将来の価格を予測して売買する「先物契約」という金融派生商品に投資します。

一般的に現物ETFの方が、ビットコインの価格変動により直接的に連動するとされています。

米国では先物ETFが先に承認され、その後、現物ETFが承認・上場されました。

ビットコインETFに投資するメリット

ビットコインETFに投資するメリット

ビットコインETFには、投資家にとっていくつかの魅力的なメリットがあります。

仮想通貨を直接管理する手間やリスクなしに投資できる手軽さ、証券取引所という信頼性の高い市場で取引できる安心感、そして株式や投資信託と同じようにポートフォリオに組み込みやすい点などです。

仮想通貨を直接持たずに投資できる

最大のメリットは、ビットコインそのものを直接購入・保管する必要がない点です。

通常、ビットコイン投資では仮想通貨取引所に口座を開設し、購入したビットコインをウォレットで管理(秘密鍵の保管など)する必要があります。

これにはハッキングや紛失のリスクが伴いますが、ETFであれば、運用会社がビットコインの保管・管理(カストディ)を行うため、投資家はそうした手間やリスクから解放されます。

純粋にビットコインの値動きへの投資を目的とする場合に非常に便利です。

規制・監督された市場で取引できる

ビットコインETFは、各国の金融当局の規制・監督下にある証券取引所に上場されます。これにより、取引の透明性が確保され、投資家保護の仕組みも働きやすくなります。

普段から株式投資などをしている方にとっては、使い慣れた証券会社のプラットフォームで、他の上場商品と同じように安心して取引できるというメリットがあります。

信頼性の高い環境でビットコイン関連商品に投資したいと考える投資家にとって、魅力的な選択肢となるでしょう。

株や投信と同様にポートフォリオに組み込める

ビットコインは、株式や債券といった伝統的な資産とは異なる値動きをする傾向があると言われています。

ポートフォリオ(資産の組み合わせ)にビットコインETFを組み入れることで、分散投資の効果を高め、全体のリスクを抑えながらリターンの向上を目指せる可能性があります。

ETFという形式をとることで、従来の株式や投資信託と同じ感覚でポートフォリオ管理ができるため、資産配分戦略に組み込みやすくなります。

ビットコインETFに投資するデメリット

多くのメリットがある一方で、ビットコインETFには注意すべきデメリットも存在します。

ビットコインそのものを保有するわけではない点、信託報酬などのコストや為替リスク、そしてETF特有の市場価格と基準価額の乖離リスクなどを理解しておくことが重要です。

ビットコインそのものを保有していない

ビットコインETFは、あくまでビットコインの価格に連動する金融商品への投資であり、ビットコインそのものを所有するわけではありません。

そのため、実際のビットコインとして引き出したり、商品やサービスの決済に利用したりすることはできません。

ビットコインを実際に使いたい、あるいは長期的に”ガチホ”して自分のウォレットで管理したいという目的には、ETFは適していないことを知っておきましょう。

為替リスクや信託報酬がかかることも

現在、日本の投資家がビットコインETFに投資する場合、主に海外(特に米国)に上場しているETFを購入することになります。

そのため、日本円と米ドルなどの間の為替レートの変動リスクを負うことになります。円安になれば為替差益を得られますが、円高になれば為替差損が発生します。

また、ETFを保有している間は、運用会社に対して信託報酬(経費率)と呼ばれるコストを支払い続ける必要があります。

これらのコストは、投資リターンを押し下げる要因となります。

市場価格と純資産価値が乖離する可能性

ETFの価格には、「市場価格」と「純資産価値(NAV)」の2つがあります。

市場価格は取引所での需要と供給によって決まる売買価格、NAVはETFが保有する資産(ビットコインなど)の本来の価値です。

通常、これらは近い値で推移しますが、市場の状況によっては、市場価格がNAVを上回る(プレミアム)または下回る(ディスカウント)状態になることがあります。

この乖離が大きいタイミングで売買すると、想定外のコストが発生するリスクがあります。

メリットデメリット
仮想通貨を直接保有せずに投資できるビットコインそのものは保有できない
証券口座から簡単に取引可能為替リスクや信託報酬がかかる
金融当局の規制下で取引され安心感がある市場価格と純資産価値が乖離することがある
株式や投信と同様に資産分散ができるDeFiや送金など仮想通貨本来の機能は使えない
税務処理が比較的シンプル長期保有時はコストが積み重なる可能性あり

ビットコインETFの買い方

ビットコインETFの買い方

日本に住む私たちがビットコインETFに投資するには、どうすれば良いのでしょうか。

2025年4月現在、主に海外の証券取引所に上場されているビットコインETFを、日本の証券会社を通じて買うことはできません。

しかし、金融庁は暗号資産を有価証券に準ずる「金融商品」として位置付ける方向で検討を進めており、これが実現すれば、ビットコインETFの国内承認に向けた環境整備が進む可能性があります。

海外のビットコインETFに投資する方法

海外のビットコインETFを購入するには、外国の証券会社で口座を開設する必要があります。

すでにNISA口座や特定口座などをお持ちの場合でも、外国株式取引の申し込みが別途必要になることがあります。

口座が開設できたら、購入したいビットコインETFのティッカーシンボル(銘柄コード)を検索し、通常の株式と同じように注文を出します。

多くの場合、米ドルでの決済となるため、あらかじめ日本円を米ドルに両替しておくか、円貨決済サービスを利用することになります。

多くの日本居住者にとっては、現実的な方法とはいえず、おすすめできません。

日本でビットコインETFに投資できる?

「日本の取引所に上場しているビットコインETF」という観点では、残念ながら2025年4月現在、まだ実現していません。

国内でのビットコインETFの組成・上場には、金融庁による承認や関連法の整備などが必要であり、今後の動向が注目されています。

日本の投資家がビットコインETFに投資する道が閉ざされているわけではありませんが、その道のりは現状では困難です。

通常の仮想通貨取引所でビットコインを購入する方法をおすすめします。

代表的なビットコイン関連ETF

代表的なビットコイン関連ETF

ここでは、米国市場を中心に、注目されている代表的なビットコイン関連ETFをいくつかご紹介します。

実際に投資を検討する際には、各ETFの特性(現物か先物か、信託報酬、運用会社など)をよく比較検討することが重要です。

(※以下は例であり、投資を推奨するものではありません。)

プロシェアーズ・ビットコイン・ストラテジーETF (BITO)

このETFはビットコイン先物に投資する商品です。米国で初めて承認されたビットコイン連動型ETFとして、2021年に登場し大きな話題となりました。

実際にビットコインを保有するのではなく、CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)で取引されているビットコイン先物契約に投資することで、ビットコイン価格への連動を目指します。

iShares Bitcoin Trust (IBIT)

2024年1月に米国で承認・上場された、代表的なビットコイン現物ETFの一つです。

世界最大の資産運用会社であるブラックロック社が運用を手掛けており、その信頼性と比較的低い信託報酬(経費率)から、多くの投資家資金を集めています。

投資家から集めた資金で実際にビットコインを購入し、カストディアン(保管業者)を通じて安全に保管しています。

ARK 21Shares Bitcoin ETF (ARKB)

こちらも2024年1月に承認されたビットコイン現物ETFです。

革新的なテクノロジー企業への投資で知られるARKインベスト社と、暗号資産関連のETP(上場取引型金融商品)を専門とするスイスの21Shares社が共同で提供しています。

テクノロジーやイノベーションに関心のある投資家層からの注目度が高いETFの一つと言えるでしょう。

Hashdex Nasdaq Crypto Index ETF

このETFは、ビットコインだけでなく複数の主要な暗号資産を含む「ナスダック・クリプト・インデックス」という指数に連動するよう設計されています(※投資対象の詳細は必ず目論見書などでご確認ください)。

ブラジルの資産運用会社Hashdexが提供しています。同社はビットコイン現物ETF(ティッカー: DEFI)も取り扱っています。

Grayscale Bitcoin Trust (GBTC)

GBTCは、もともと適格投資家向けの私募投資信託として長年運用されてきた実績があります。

2024年1月に、他の多くの申請と共にビットコイン現物ETFへの転換が承認されました。

転換前から大量のビットコインを保有しており、運用資産残高(AUM)が大きいのが特徴です。

ただし、他の新規に設定された現物ETFと比較すると、信託報酬がやや高めに設定されている点には留意が必要です。

ETF名種類ティッカー経費率特徴・備考
プロシェアーズ・ビットコイン・ストラテジーETF (BITO)先物型BITO0.95%米国初のビットコイン先物ETF。流動性が高い。
iShares Bitcoin Trust (IBIT)現物型IBIT0.25%世界最大の運用会社によるETF。安定性が魅力。
ARK 21Shares Bitcoin ETF (ARKB)現物型ARKB0.21%成長性重視の投資家に人気。話題性が高い。
Hashdex Nasdaq Crypto Index ETFインデックス型HASH110.90%複数の暗号資産に分散投資。ナスダック連携。
Grayscale Bitcoin Trust (GBTC)現物型GBTC1.5%ETF転換された老舗信託。流通量が多い。

まとめ

ビットコインETFは、従来の金融システムの枠組みの中で、手軽かつ比較的安全にビットコインへの投資を始めることができる新しい選択肢です。

管理の手間が省け、分散投資にも活用しやすいメリットがある一方、直接保有できない点やコスト、価格乖離リスクなどのデメリットも存在します。

日本ではETF購入はできませんが、近い将来に法改正して日本国内でも購入可能になると予測されています。

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